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日本人の子供がアメリカの学校で経験する現実

この記事は、こんな方におすすめ

お子さんがアメリカの学校に通っている方

これから渡米するにあたり、心の準備をしたい方

アメリカに渡米したてのご家族から、時々こんな質問をいただきます。

「子供が友達の輪に入りづらいようで、休み時間も一人で過ごしていることが多いようです。アメリカの現地校は、どのような状況ですか?友達の作り方なども教えていただけると嬉しいです」

本日の記事では、10歳で日本から渡米した私自身や同じような状況に置かれていた友人たちの経験を踏まえて質問にお答えしていきます。

もちろん体験談なので全ての人に当てはまるわけではないと思いますが、何らかの参考になればと思います。

①【体験談】渡米したての日本人の子供たちが置かれる状況

Photo by Jerry Wang on Unsplash

学年によって違うのが正直なところです。もちろん個人差はありますが、ざっくりまとめると…

幼稚園〜小学校3年生くらいの子供たちは、言葉が通じなくても、仲間に入れてもらえます。遊んでいるうちに英語を話せるようになるのもこの年頃です。英語の習得も大事ですが、どちらかというと、「日本語を忘れさせない」心配が必要です。

小学校4年生くらい〜中学生になると休み時間は会話が中心になるので、英語を喋れないとひとりぼっちになりがちです。同学年の日本人の子供たちに英語面を助けてもらったりして過ごしている子が多いです。とはいっても、10歳前後で渡米した子供たちは、一番バイリンガルになりやすいと言われています。というのも「日本語の基礎」がしっかり身に付いているので、日本語を忘れずに、英語を習得することができるのです。

中学生〜高校生のお子さんも、休み時間は会話が中心になるものの、アニメや日本文化に興味を持つ子供も現れ始めて、日本の話をしたい・日本の文化を学びたい子供たちが出てきます。よって、中学生後半〜高校生くらいになると、日本人以外の友達の輪が広がります。

次に、渡米したてのお子さんたちの心理状態について考えてみましょう。

まず第一に、変化についていくのが大変ということが挙げられます。渡米したということは

  • 日本のお友達に別れを告げ、
  • アメリカに引っ越し、
  • アメリカの食べ物や住居に慣れ、
  • 新しい学校に通い始める

ということです。

変化が多くてとても大変なのです。大人のみなさんにとっても、引っ越しや環境の変化、仕事仲間の変化に適応するのは大変ですよね。大きな変化は、子供にとってもストレスになります。しかも、大きな変化が一つではなく、たくさん重なっていますよね。アメリカに越してきて現地校に入れられた子供たちは、心理的にとても大きなストレスを抱えています。

学校では、自分だけ英語がわからないので、他の星に来たような、宇宙人みたいな感覚です。とくに、私の場合は休み時間、ランチの時間、グループワークで孤立することが多かったように思います。

子供たちの負担を軽減するために、周りの大人ができること

Photo by sean Kong on Unsplash

次に、大人になった私が当時の状況を振り返り、「こんなヘルプがあったら嬉しかったな」と思う事を紹介していきます。

「間違った英語を話しても大丈夫」な環境を作ってあげる

最近心理学などで、「心理的安全性」が話題になっています。

想像してみてください。みなさんが、家事や仕事をするたびに上司や家族からできなかったことを指摘され、文句を言われ、それでもそれを毎日毎日やらなきゃいけないことを…。家事や仕事、嫌になりませんか?

現地校に通う子供たちも、同じような状況です。英語がわからないので、周囲と違う行動を取ってしまったり、勇気を出してしゃべっても、通じなかったり。子供って残酷なので、露骨に嫌な顔をします。最初は頑張っていても、だんだんと精神がすり減ってしまうのは想像がつきますよね。

そこで、間違えても大丈夫、間違ってもジャッジされない、「心理的に安全な」環境を作ってあげます。

具体的にどんな環境かというと、例えば、多様な人種や文化を背景に持つ子供たちがいるところ。これは、学校だったり色々な国の子供達が集まるサマーキャンプだったり、習い事だったり、同じような状況を経験した先生たちがいる英会話教室だったり、さまざまです。現地校に多様性が見られない場合は、学校の外でお子さんが所属できる、安全なコミュニティを探してあげるといいです。

ちなみにこれは大人でも言えることで、いきなりアメリカ人ばかりの、みんな英語がペラペラなところに入れられたら、「日本語だったらできるのに!」って、ちょっと悔しい思いをしますよね。そんな時、もう一人アジア出身の仲間がいて、その人がたどたどしくても頑張って英語を喋っていたら、「自分も頑張ろう!」という気になりませんか?

自分と同じ境遇でもめげずに頑張る子供たちと繋げてあげることで、モチベーションがアップするのです。そして、皆も失敗しているから、自分も挑戦してみようと思えるのです。

自信をもたせてあげる

現地校に入れられて間もない子供たちは、自信を無くしている子が多いです。なので、英語以外で得意なことや、間違いを恐れずに英語を喋ろうとしている姿勢を褒めてあげてください。褒める文化は日本にはあまり無いように思いますが、ささいなことでもたくさん褒めてあげてください。

得意なことから伸ばしてあげる

それから、苦手なところを伸ばすのではなく、得意なことをたくさん伸ばしてあげることに焦点をあててみてください

実例をあげると、私の生徒にアメリカ渡米当初、小学2年生だったMちゃんという女の子がいました。Mちゃんは引っ込み思案な性格で、なかなか英語を喋ろうとしませんでした。しかし、英会話レッスンを続けるうちに、Mちゃんが文字を書きたがっていること、日記を書くのが得意なことに気づきました。そこで、「毎日日記を書く」という課題をあたえ、レッスンの度に日記を一緒に読み、良いところや成長したところを褒めました。するとライティングに自信がつき、自由時間にもお話を書いたり、英語の文章を書いたりするようになったのです。ライティングに自信がついたMちゃんは、得意なことが一つできたので、自信をもって英語を喋ったり、リーディングに挑戦したりするようになりました。現在ではアメリカ在住歴2年になりますが、最初とは見違えるほど英語力が上達しました。

③親や周りの大人にやってほしくないこと

Photo by Isaiah Rustad on Unsplash

次に、両親や先生たちも含め、周りの大人にやってほしくない事を、子供時代を思い出しながら書いていきます。

✖️間違いをバカにする・からかう

お子さんが頑張って英語を喋ろうとしているときは、間違いを指摘したりバカにするのではなく、できたことを褒めてあげてください。それから、成長したことを褒めるのも大事です。「この前できなかったけど、今日はお友達に話しかけることができたね」など、ささいなことでも良いので、とにかく褒めてあげてください。

✖️他の子供と比べる

自分のお子さんと、他人のお子さんに優劣をつけてしまうことは人間誰しもあると思います。でも、お子さんにはそれを伝えないでください。できれば絶対に!

「〇〇ちゃんよりもあなたはできる子だね」と育てられた子供は、傲慢になり、向上心を失います。それから、常に人よりも優れていないと自分は無価値だと思い込んでしまいます。

逆に「〇〇ちゃんはできるのに、どうしてあなたはできないの?」というのも、自己肯定感を失ってしまうので避けてください。

そもそも、「全然違う人間同士を比べること」っておかしいと思いませんか?他の子ができてあなたのお子さんにできないこともあれば、あなたのお子さんにできて、他の子にできないこともあるのです。現代の社会では「勉強ができる・頭が良いと偉い」という謎基準が一般的ですが、原始時代は勉強ができることよりも、早く走れたり石を遠くまで投げることができたりした方が、偉かったはずです(笑)つまり、世の中の基準は変わっていくのです。特に今の時代は、変化が目まぐるしいですよね。そんな曖昧な指標をもとに、お子さんを他の子供たちと比べないであげてください。

✖️体育会系のノリ

英語を覚えるように、日本人の友達は作ってはいけないとか英語しか喋ってはいけないとか、体育会系のノリはやめてあげてください。お子さんが、英語自体を嫌いになってしまう恐れがあります。一度嫌いになってしまうと、再度関心を向けさせるのに苦労します。

④困難を乗り越えると、待っている事

Photo by Ameer Basheer on Unsplash

そんな苦労して、何かいいことが待ってるの?と思った方もいるのではないでしょうか。良い事、色々ありますよ。世の中には、「将来AIが発達して自動翻訳機が出るから、英語の習得なんて必要ない!」という人もいますが、苦労して英語を学んだ子供たちには、コミュニケーション力よりももっとたくさんの良いことが待っているのです。たとえば…

👍視野が広い大人になる

辛い思いをしているので、人の痛みや苦労がわかるようになります。そして幼いうちから「自分の当たり前」や「常識」を崩されるので、自分とは違う人に対して寛容になります。

👍周りに流されない精神力が身に付く

良い意味で、周りを無視する力が身に付きます。同調圧力に負けない精神ですね。

👍変化に対して臨機応変に対応できるようになる

文化や言語が全く違う環境で過ごすと、新しい環境に対する適応能力が身につきます。

👍ガッツがつく

幼い頃に大変な経験をしておくと、何があっても、「あのころに比べればこれくらい大したことない」と思えるようになります。ちなみに、アメリカテキサス大学の研究によると移民の子供の方がそうでない子供に比べ、起業精神を持つ確率が高いみたいです。変化の激しい時代に適応できる、これからの時代を生き抜いていける人間が完成します。

まとめ

ということで、今日の動画では、日本人の子供がアメリカの学校で経験することをお話ししました。

同じ内容についてお話ししている動画もあるので、ぜひご覧いただければと思います。