はじめに

2021年も、残り3ヶ月弱となりました。
秋には、アメリカの高校4年生(Senior)の生徒さん達は、大学進学に向けて準備を開始します。
ということで今回の記事では、大学進学にあたって考慮すべきポイントについてお話します。 各条件、それぞれに利点と欠点があるので、勉強する上で「何が自分にとって優先事項になるか」を考慮し、プライオリティをつけて大学を選ぶのが大事になってきます。
大学の大きさと、教授:生徒の比率

生徒の総数や、教授:生徒の比率は、大学を選ぶ上でとても大切です。大きい大学・小さい大学には、それぞれ利点と欠点があります。
大きな大学だと多種多様な生徒たちが居て、その分自分と気が合う人が見つかりやすいです。また、大学院や研究機関を持つ大学の場合、大学在学中に研究の経験などを積みやすく、大学院や医科大学(メディカルスクール)に進学する際に有利になることがあります。
その反面、一つのクラスに数百人という生徒達が詰め込まれることがあり、授業についていけない時などに十分なサポートを得られないことがあります。
小さな大学では、一つ一つのクラスも少人数なため、教授のサポートを十分に受けることができます。また、教授に自分のことをよく知ってもらえるため、大学院進学の際や就職の際に、質の高い推薦状(レターオブレコメンデーション)を書いてもらえる確率が高いです。
一方で、小さい大学の欠点もあります。人が少ないとその分出会いも少ないため、4年間ずっと同じ仲間を過ごすことになります。また、小さい大学だと研究やインターンシップなどの機会も少ない可能性があります。
大学の場所

大学選びにおける重要度でも上位に入るのが、「大学の場所」です。
都会の大学を選ぶか田舎の大学を選ぶかによって、大学時代の経験は大きく変わります。
都会の大学のいいところは、他の大学生や社会人たちとの人脈をつくりやすいところにあります。特に就職や大学院へ進学する時などにコネクションが大事になってくるアメリカでは、学生時代から良質な知り合いを多く作っておくと有利です。
また、インターンシップや自分のスキルを上げるための研修など、その後の人生を豊かにするようなチャンスに恵まれるのも、都会の利点です。
都会であれば、大学の近郊にスーパーやレストランなどのお店が充実している場合も多いです。一人暮らしを始めると、自炊をする大学生も多いため、そのような意味で都会はとても便利です。
一方で、誘惑に弱い人や、気が散りやすい人にとっては、都会の大学は好ましく無いかもしれません。都会には楽しい誘惑も多いため、勉強をそっちのけにして遊んでしまう学生もいます。
田舎にある大学は、都会と比べると誘惑は少なく、勉強に集中しやすい環境です。また、自然も豊かな場合が多いので、人混みがストレスになってしまう人にとっては、過ごしやすい環境かもしれません。
物価の安さも、田舎にある大学の魅力です。都会と比べると、田舎の方が全体的に物価が安いです。寮を出て一人暮らしを始めると、アパート代や食費がかかるため、物価が安いのは学生にとって助かります。
その反面、田舎の大学では都会ほど「人と巡り会うチャンス」が無いのも事実です。また、インターンシップやアルバイトなどの選択肢も限られるのが欠点です。
奨学金の有無

以前別のブログ記事でも書きましたが、アメリカの大学は4年間で「家が買えるほど」お金がかかります。
一番安い「州内の大学に進学する場合」は約1190万円、「私立の大学に進学する場合」は約2430万円かかると言われています。
一見すると私立大学の方がより多くのお金がかかるようにも見えますが、私立の場合は多額のFinancial Aid(奨学金などのサポート)が大学側から提供されることも多いため、一概に「私立の方が高い」と言い切ることはできません。 進学先の大学が、どのようなサポートを提供しているかも、大学を選ぶ上で重要なポイントになります。
Majors(メジャー)の選択肢

せっかく大学に進学しても、もしも希望のメジャーが無かったら、意味がありませんよね。
大学によって、選択できるメジャーの種類も変わってきます。
例えば私の通ったカラマズー・カレッジ(カラマズー・カレッジで過ごした4年間の様子は、こちらの記事でお読みいただけます)では、生物学は”biology major”として一括りにされていました。
しかし、実際は、「生物学」といっても「環境学」「細胞の分子生物学」「遺伝子学」など、より細かい分野に分けることができます。
私の通った大学はリベラルアーツと呼ばれ、「幅広い分野の学問を学ぶことに重きを置く」大学だったため、”biology major”としてさまざまな生物学の分野を学べたのは、利点でした。特に、大学卒業後の進路が定まってない生徒にとっては、在学中にさまざまな選択肢を考えることができるので、とても助かりました。
一方で、中には「大学入学時に、すでに将来やりたいことが決まっている」人もいるかもしれません。そのような人は、興味のある分野をより専門的に学べる、メジャーが細分化された大学のほうが合っているかもしれません。
まとめ
今回の記事では、大学選びの際に考えるべき様々なポイントを紹介しました。
自分にとって完璧だと思える大学があれば、それに越したことはありません。
しかし、大抵の場合は、「この大学はほぼ条件を満たしているけど、場所が気に入らない」「とても行きたい大学だけど、奨学金などのサポートがない」など、「100%完璧な大学」を見つけるのは困難なのではないでしょうか。
「100%完璧」を見つけるのは困難であっても、「大学4年間で自分が何を重視するか」をきちんと考え、自分の行きたい大学の条件に優先順位をつけることはできますよね。
「完璧」が見つからない場合は、優先度の高い条件を満たす大学に応募するのをおすすめします。